和歌と俳句

椿の花

瓶青し白玉椿挿はさむ 虚子

花びらの肉やはらかに落椿 蛇笏

西霽れて窗の木がくれ白椿 蛇笏

風にゆれ藤をまとひて山つばき 蛇笏

廃園に海のまぶしき藪椿 多佳子

椿落ち椿落ちこころ老いゆくか 鷹女

鵙の巣の椿は上に上に咲く 汀女

妻既にことしの椿見しといふ 草城

岸浸す水嵩となりし椿かな 万太郎

ひもじくておとなしき子や落椿 草城

落椿子のひもじきは堪ふべしや 草城

造化又赤を好むや赤椿 虚子

葉のかげににじみそめたる椿かな 虚子

庭散歩椿に向ひまた背き 虚子

葉のつやを逃げてつばきのしろきかな 万太郎

椿咲きぬきのふにつづく風吹けど 秋櫻子

苔ふかく幾世落ちつぐ落椿 秋櫻子

落椿蘂全くて苔厚し 秋櫻子

強き日に燃え落つ椿室戸崎 たかし

白水晶緑水晶玉椿 虚子

繋がれし犬が嗅ぎより落椿 虚子

一点の黄色は目白赤椿 虚子

大空にうかめる如き玉椿 虚子

葉ごもりに引つかかりつつ椿落つ 虚子

林なす潮の岬の崖椿 虚子

一枝を山の上より山椿 石鼎

石段にふめよと落ちし椿かな 万太郎

椿落つ三百年の苔の上 万太郎

花折つて少女椿より降りしばかり 多佳子

落椿土に達するとき赤し 虚子

蟻いでて庭苔ふかし白つばき 蛇笏

樹々すきて旭さす獣園山つばき 蛇笏

野の風を濤と聞く日の玉椿 秋櫻子

墓を建て栖する地の落椿 蛇笏

あながちにはかなからざるおちつばき 蛇笏

天に向き地に向き椿皆動く 青畝

椿見る病後の足に土ゆらぎ 爽雨

一輪の椿一樹に吹きもまれ 爽雨

年老いし椿大樹の花の数 虚子

花の数倍にも見えて風椿 虚子

潮騒のものすさまじく椿咲く 青畝

崖の下より捧げ来し紅椿 誓子

風椿立ち直りつつ花落とす 虚子

落椿土に帰せんとしつつあり 虚子

花咲きて照り葉のかすむ紅椿 蛇笏

山寺をちかみの藪の紅つばき 蛇笏

竹山に花ざかりなる紅椿 蛇笏

手賀沼の翡翠来鳴く椿かな 秋櫻子

うつ伏せに風につつつつ落椿 立子