和歌と俳句

冬至

午後凪ぎて繞る山脈冬至きぬ 蛇笏

冬至の日しみじみ親し膝に来る 風生

さむざむと日輪あそぶ冬至かな 蛇笏

冬至の日きれい植木屋木の上に 青邨

御籤吉冬至のお庭あたたかに 青邨

風邪の子に忙しく暮れし冬至かな  素十

あやまたず沈む冬至の日を見たり 夜半

四まいの障子いつぱい冬至の日 素逝

海の日のありありしづむ冬至かな 万太郎

松風の空にあまりし冬至かな 万太郎

風雲の少しく遊ぶ冬至かな 波郷

風日々に冬至となりし日の黄なり 亞浪

くらがりに茶の匂ひ立つ冬至かな 草城

いそがしき冬至の妻のうしろ影 草城

日のみくら機影のわたる冬至かな 蛇笏

小走りに妻の出て行く冬至かな 草城

いづくにか在りたる冬至南瓜切る 爽雨

あつる刃に冬至南瓜の古朱映ゆる 爽雨

冬至の日縞あるごとくゆれにけり 青畝

母在りき冬至もつとも耀きて 鷹女

鯛の目をせせりてつつく冬至かな 静塔

梅の枝の冬至の鳩もすぐ去んぬ 波郷

冬至けふ息安かれと祈るかな 波郷

冬至の日富士もろもともに燃え落つる 波郷

大漁旗冬至の浜をかざりけり 青畝

病室のバルコンに出て冬至かな 波郷

曙の尾長鳥来てゐる冬至かな 波郷

グラタンの熱しと食ぶる冬至かな 青畝