卯の花のいぶせき門と答へけり 虚子
茂吉
谷うつぎむらがり咲きて山越ゆるわれに見しむと言へるに似たり
卯の花と其に似し花と谷間ゆく たかし
卯の花や仰臥の指に葉一枚 波郷
卯の花を仏の花と手折りもし 虚子
紅卯木遅れ代掻はるかなり 波郷
卯の花の咲けばそぞろに旅心 立子
ふるさとは卯つ木花咲き温泉溢れ 立子
谷ゆけば硫黄こぼるる花卯木 不死男
関を発つ別れ心に紅うつぎ 立子
卯の花や患者われらの森の道 波郷
可愛岳を蝶群れのぼる花卯つ木 秋櫻子
卯の花や判官主従のこす笈 秋櫻子
卯の花やみちのくぶりの大鐙 秋櫻子
をんなの旅風がよく見え花卯木 双魚
卯の花は咲けども起れず病われ 波郷
かたりべの頸がさみしと卯木咲く 双魚