和歌と俳句

木の芽

木々の芽のわれに迫るや法の山 虚子

くぬぎはらささやく如く木の芽かな 虚子

あけぼのの白き雨ふる木の芽かな 草城

椢山木の芽は煙るばかりかな 喜舟

ひた急ぐ犬に会ひけり木の芽道 草田男

御扉開くことなき木の芽かな 風生

積む雪のほとほとこぼれ木の芽かな 石鼎

道端の仏に木の芽花のごと 青邨

ほぐれんとしてたくましき木の芽かな 青邨

木の芽うつる水は流れてゐたるかな 林火

煙草のむ人ならびゆき木々芽ぐむ 波郷

ここからがうちの山といふ木の芽 山頭火

はるも水があふれる木の芽 山頭火

あるきまはれば木の芽のひかり 山頭火

芽ぶきゐる木々の芽の名教へ教へられ 立子

木の芽晴すこし曇りて来りけり 万太郎

月すでに上りてゐたる木の芽かな 万太郎

一山の木の芽かはける夕かな 石鼎

本堂の柱に映る木の芽かな 石鼎

本堂の太しき柱木の芽時 石鼎

雲隠る日もまぶしくて木々芽ぐむ 誓子

煙草のむ人ならびゆき木々芽ぐむ 波郷

フランスの女美し木の芽また 虚子

ぬか雨にまぢかな木の芽ぬれてある 石鼎

とりどりに木の芽しそめし狭庭かな 石鼎

木の芽ごろ炊煙時にみごとなる 石鼎

寝しづまる頃に月ある木の芽かな 石鼎

芽ぶく木々伐りて炭竃あらはなる 悌二郎

木の芽谷なほ雪嶺のつきまとふ 汀女

木木の芽に古びし月がゆき消えぬ 楸邨

空まろくかかり木々の芽やはらかし 亞浪

窓際に見えゐて木の芽濃まさりぬ 石鼎

光りはじけ緑しそむる木の芽かな 石鼎

いづこにか眼白声する木の芽かな 石鼎

降るや雪滴ちりばめ木の芽かな 石鼎

垣の上に木の芽ふれつつ庭隣 石鼎

木木の芽は天暗くして光りいづ 楸邨

あきらけく大樹芽はなち神の森 石鼎

しめやかな幹して芽ぐむ大樹あり 石鼎

大樹ほど遅き木の芽の深山かな 石鼎

横長き白き芽をもち深山の木 石鼎

木木芽ぶく銀行に銀貨こぼれる音 不死男

交換手木の芽の朝を帰るなる 不死男

身のほとり木の芽の光ふるごとし 楸邨