和歌と俳句

短日 日短か

うせものをこだはり探す日短か 虚子

いやなこと聞けば聞き腹日短き 万太郎

君とわれ短日読めぬ墨の銘 秋櫻子

短日や鳥居の笠木はやかげり 万太郎

短日や弟子の髷きる師匠の手 万太郎

短日や八丁堀の露地の中 万太郎

鉛筆のすぐに書き減り日短 立子

妻よわが短日の頬燃ゆるかな 波郷

短日や不足をいへばきりのなき 万太郎

短日や野天写真の反射板 万太郎

短日のカツレツ五十五銭かな 万太郎

短日のふと何を欲り指輪欲り 立子

短日の窓くれてうつすわれの貌 彷徨子

日短かし青貝のごと河北潟 普羅

病人のこころせくなり日短かし 波津女

短日や小ゆすりたかりぶったくり 万太郎

買物はたのしいそがし日短 立子

短日の午より月の濃かりけり 爽雨

一字消すきのふの一句日短か 爽雨

短日のきしむ雨戸を引きにけり 虚子

片づけて片づけて用日短 立子

人住みて短日灯す門の袖 風生

短日や縁の下ゆく一流れ 万太郎

たかなみのたつにまかせて日短き 万太郎

道ばかりきかれ短日靴みがき 万太郎

ねこ舌にうどんのあつし日短か 万太郎

短日のひかりのなかや浮御堂万太郎

万太郎
一ごみにちらと影みし日短き

万太郎
短日や数珠のきれたつむだづかひ

万太郎
短日やはやぽつかりといでし月

万太郎
短日の石つまづけとばかりかな

万太郎
何か言へばすぐに涙の日短き

不死男
短日のよよと軸焼く燐寸の火

不死男
短日や帯に噛ませる乗車券

波郷
看護婦の声に短日はじまりぬ

短日の何せむとして道に出し 双魚

不死男
短日や晩年日記とびとびに

林火
短日の大和当麻が行きどまり