和歌と俳句

筍 たけのこ たかうな 笋

たかんなの土出でてなほ鬱々と 誓子

八一
うらにはのこのねたちぐきはるかなるはたのこみちにいでしたかむな

筍を聖母の木靴まさに踏む 静塔

筍を囲む聖母と腰曲げて 静塔

僧房へ筍の鉾せめぎよす 爽雨

たかんなや学僧の眉一文字 林火

筍や糞りつつあるく寺の鶏 不死男

筍の穴が地軸の暗さ見す 多佳子

筍と老婆その影むらさきに 多佳子

筍を地下より招く父の鍬 静塔

神います山の筍堀りて売る 誓子

筍や妻とくらべる観世縒 不死男

筍に月の出の黄のちらつけり 林火

筍飯届きて妻の来ぬ不安 波郷

筍飯一椀に足りはやねむし 秋櫻子

筍の穴埋めを犬見定めて 静塔

筍に与ふ一打の指南かな 汀女

筍に竹の落葉のたより降る 静塔

筍の堀場移りは犬に従く 静塔