和歌と俳句

筍 たけのこ たかうな 笋

竹の子のきほひや日々に二三寸 子規

筍やずんずとのびて藪の上 子規

筍はまだ根ばかりの太さかな 子規

竹の子や隣としらぬはえ處 子規

君が墓筍のびて二三間 子規

月斜め竹の子竹にならんとす 漱石

筍や思ひがけなき垣根より 漱石

藪近し椽の下より筍が 漱石

歯が抜けて筍堅く烏賊こはし 子規

筍哉虞美人草の蕾哉 子規

一様に筍さげし土産かな 虚子

たかんなに縄切もなき庵かな 鬼城

ありたけのきのふからの筍をむぐに交れり 碧梧桐

筍や畑へかけて竹落葉 石鼎

筍の斑に翠微来る朝日かな 石鼎

うす皮のうす紫や早筍 櫻坡子

新縄や笋にかけたのもしき 青畝

藪の戸に筍積める車かな 爽雨

通りぬけをする夜の人声の筍時分 碧梧桐

白秋
春すぎて夏来にけらし筍のみづみづし根の紫の疣

筍の光放つてむかれたり 水巴

をかしさや去来の墓と筍と 喜舟

筍や雨の親竹うちかむり 悌二郎

筍に向つて歩む数歩かな 青邨

たかんなをさしかつぎしてつゆげしき 蛇笏

筍二本節をそろへてのびてゐる 彷徨子

筍に嵯峨の山辺は曇りけり 亞浪

お寺の竹の子竹になつた 山頭火

筍の堅きが上の煮〆かな 喜舟

見えたりや筍掘りのマッチの火 青邨

筍のまはりの土のやさしさよ 草城

筍の掘り出だされてむつつりと 草城

客ありて筍堀の小提灯 素十