和歌と俳句

竹下しづの女

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紫陽花や夫を亡くする友おほく

明けて葬り昏れて婚りや濃紫陽花

起居懈しきんぽうげ実を挙げしより

受話機もて笑ふ顔見ゆ合歓の窓

緑蔭や矢を獲ては鳴る白き的

吏愉し半休に入り弓を引く

痩せて男肥えて女や走馬燈

塔屋白しそだちやまざる雲の峯

青葦の囁きやまず端居かな

小風呂敷いくつも提げて墓詣

村人に轡をとらせ墓詣

四五人の村人伴れて墓詣

掃苔の手触りて灼くる墓石かな

故里を發つ汽車に在り盆の月

稗の穂は垂り稲の穂はツンツンと

篠白し月蝕まれつついそぐ

考へに足とられ居し蓼の花

母帰るや否や鶲が来しといふ

鶲来て母は毎日不在なり

鵯の路月の骸横たはる

随身の美男に見ゆ初詣

種子明す手品師も居し初詣

幾何を描く児と元日を籠るなり

円き日と長き月あり紙鳶の空

アカシアや庵主が愛づる喧嘩蜂