和歌と俳句

竹下しづの女

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初鶏やカアテン垂れて冬薔薇

カルタ歓声が子を守るわれの頭を撲つて

詩書くや襤褸の中の春夜人

春夜人衿裄け了へて今十時

凍て畳に落ちてひろごる涙かな

鉢棚を叩く硬さや寒の雨

凍て飯にぬる茶もあらず子等昼餉

寒夜鏡に褄しづまりて誰か彳つ

書初やをさなおぼえの万葉集

添へ髪のおもたき髷や祭髪

祭り人降り続くなり汀まで

夏痩もせずただ眠き怖しし

濃ゆし馬蹄のこだま喝破とのみ

青葦を手づから刈つて簾を編むも

ちひさなる花雄々しけれ矢筈草

葦刈の去んで人見ぬ日数かな

鳰載せてけはしき水となり初めつ

古里は痩稲を刈る老ばかり

曲りたる七重の腰に毛見案内

雪嶺となつて外山の大起伏

雨風に黙々として鵙の冬

寒禽となり了んぬる鵙一羽

畑打つて酔へるがごとき疲れかな

日を追はぬ大向日葵となりにけり