子規
夏ながら 木曽の旅寝の 夜ぞ寒き のきば近くに 雲やゐるらん
子規
信濃なる 木曽の旅路を 人問はば ただ白雲の たつとこたへよ
目にちらり木曽の谷間の子規 子規
ほとゝぎす木曽はこの頃山つゝじ 子規
夏菊や旅人やせる木曽の宿 子規
木曽深し夏の山家の夕行燈 虚子
昨日しぐれ今日又しぐれ行く木曽路 漱石
子規
木曾山の 山の峡より 我行けば 笠の端わたる 五月雨の雲
節
木曾人の秋田のくろに刈る芒かり干すうへに小雨ふりきぬ
節
木曾人よあが田の稻を刈らむ日やとりて焚くらむ栗の強飯
茂吉
満ちわたる 夏のひかりと なりにけり 木曽路の山に 雲ぞひそめる
茂吉
おくやまの 岩垣ぶちを 小舟にて 人ぞ渡らふ 木曽路かなしも
木曽宿や岩魚を活かす筧水 野風呂
迢空
雨霽れて 村はひそけきあしたなり。山々の眠り 深みゆくらむ
迢空
夜を徹めて 響くこだまか。木曽の谿深く宿りて、覚めて居るなり
木曾人は雨寒しとて夏炉焚く たかし
木曾谷の木魂の寒さ相よべり 楸邨
片陰の宿へ入り来し木曽路かな たかし
端居せる家のここより木曽路なる 蕪城
子へいそぐ木曽路の稲架照りかへし 楸邨
木曾谷の刈田をわたるひざしかな 楸邨
夕立つ山迫りてここは木曾の洗馬 秋櫻子
木曾谷は山女魚に飯も豊かなり 秋櫻子
木曾谷に友等相会ふ蝉涼し たかし
木曾谷を一洗したる夕立晴 たかし
秋涼し目覚め咳く木曽の宿 たかし
鰻簗木曾の夜汽車の照らし過ぐ 林火
木曾馬に山坂ばかり青胡桃 林火
代田水木曾の車窓に澄みつづく 爽雨
木曾五木かも夏山の駅に積む 爽雨