月高く炉火旺んなれ十三夜
静なる自在の揺れや十三夜
瓢箪の出来の話も残暑かな
かまつかの唐紅の別れ蚊帳
野路晴れて我が杖に飛ぶ曼珠沙華
曼珠沙華に鞭れたり夢さむる
藪に立つ欅三本鵙の秋
山々に木曾の踊も終りけり
夕月のまだかまつかの紅ほのか
竹藪の空ゆく月も十四日
藪の空ゆくばかりなり宿の月
干網をくぐりくぐりて秋の浜
島人の墓並びをり十三夜
爽に弓手の肌を脱ぎにけり
山栗の大木のあるなつかしき
大木の栗の小さきが落ちそめし
二ひらの花びら立てて蛍草
鶏頭の影走りつつ伸びにけり
鶏頭の夕影並び走るなり
秋水に映れる森の昃りけり
外濠へ落つ公園の秋の水
菊に羞づ菊を詠ぜし我が詩かな
南縁の焦げんばかりの菊日和
菊日和浄明寺さま話好き