和歌と俳句

曼珠沙華 彼岸花

歩きつづける彼岸花咲きつづける 山頭火

日輪の寂と渡りぬ曼珠沙華 茅舎

曼珠沙華消えたる茎のならびけり 夜半

だしぬけに咲かねばならぬ曼珠沙華 夜半

曼珠沙華印結ぶ指ほどきけり 茅舎

曼珠沙華恙なかりし門を出づ たかし

ひつじ田の畦の景色の彼岸花 草城

持つてゐてこはくなりけりしびとばな 草城

しびとばなほつりと赤し道ばたに 草城

野路晴れて我が杖に飛ぶ曼珠沙華 たかし

曼珠沙華に鞭れたり夢さむる たかし

斬られても斬られても曼珠沙華 山頭火

彼岸花の赤さがあるだけ 山頭火

移つてきてお彼岸花の花ざかりの 山頭火

松ありてたゞ叢や曼珠沙華 淡路女

曼珠沙華そろひ傾く水の上 青邨

曼珠沙華抱くほどとれど母戀し 汀女

曼珠沙華南河内の明るさよ 草城

下総の丘のなだらの曼珠沙華 風生

まことお彼岸入の彼岸花 山頭火

かたまつて曼珠沙華いよいよ赤く 山頭火

曼珠沙華落暉も蘂をひろげたり 草田男

野川照り曼珠沙華咲き日はしづか 楸邨

枯れそめて赤いのは曼珠沙華 山頭火

彼岸花さくふるさとは墓のあるばかり 山頭火

藪のなか曼珠沙華のしづか 山頭火