里人のわたり候か橋の霜 宗因
霜を着て風を敷寝の捨子哉 芭蕉
貧山の釜霜に啼声寒し 芭蕉
火を焚て今宵は屋根の霜消さん 芭蕉
さればこそあれたきままの霜の宿 芭蕉
薬のむさらでも霜の枕かな 芭蕉
葛の葉の面見せけり今朝の霜 芭蕉
かりて寐む案山子の袖や夜半の霜 芭蕉
夜すがらや竹こほらするけさのしも 芭蕉
みな出て橋をいただく霜路哉
影むらさき霜を染なす旭かな 杉風
摺鉢のみそみめぐりや寺の霜 蕪村
朝霜や剣を握るつるべ縄 蕪村
霜百里舟中に我月を領す 蕪村
松明振りて舟橋わたる夜の霜
鐘の声霜を知る夜の眉重き 白雄
腰かける舟梁の霜や野のわたし 太祇
朝霜に野鍛冶が散火走る哉 一茶
掌に酒飯けぶる今朝の霜 一茶
おく霜や白きを見れば鼻の穴 一茶
曙覧
枯のこる茎うす赤き犬蓼の腹ばふ庭に霜ふりにける