和歌と俳句

菖蒲

あやめ生り軒の鰯のされかうべ 芭蕉

あやめ草足にむすばん草鞋の緒 芭蕉

しだり尾の長屋長屋に菖蒲哉 嵐雪

あやめさす軒さへよそのついで哉 荷兮

音なしに風もしのぶや軒あやめ 千代女

あやめ草綾の小路の夜明かな 青蘿

馬の子がなめたがるなりさし菖蒲 一茶

湯上りの尻にべつたり菖蒲哉 一茶


子規
病み臥せる 床にさゝんと おぎのりし 菖蒲匂ひ葉 根はなかりけり

菖蒲剪るや遠く浮きたる葉一つ 虚子

新菖蒲庭松花をそろへけり 蛇笏

葺きあまる色濃き菖蒲一束ね 麦南

抜き捨てし一茎岸に菖蒲池 石鼎

陋巷の裏に表に菖蒲かな 青畝

池替ふと莟む菖蒲をかたむけぬ 悌二郎

住みなれて魚族しづかに菖蒲たれ 悌二郎

人妻のあだに美し菖蒲園 花蓑

柔かに菖蒲しをれて子の軒に 汀女

病人に結うてやりけり菖蒲髪 虚子

道の上に菖蒲拾ふを見られけり 波郷