和歌と俳句

鴛鴦

枯あしの雪をこぼすやをしのはね 子規

迷ひ出でし誰が別荘の鴛一羽 子規

美しきほど哀れなりはなれ鴛 鬼城

蛇笏
舳に遠く鴛鴦とべりいしがはら

喜舟
鴛鴦や眠りもぞする鴨の中

蛇笏
月さして鴛鴦泛く池の水輪かな

石鼎
鴛鴦浮くや雌やゝに雄に隠れがち

石鼎
岩かげを流れ出て鴛鴦美しき

岩雫すれすれ鴛鴦の日向ぼこ 花蓑

牡丹雪浮寝醒めたる鴛鴦二つ 花蓑

鴛鴦進むやしざるが如く筑波山 花蓑

月二郎
端居人見あげて鴛鴦の通りけり

喜舟
鴛鴦や蓮華の相ありありと

喜舟
鴛鴦や殿中どなた美しき

石鼎
おもひ羽を高くあげたり雪の鴛鴦

石鼎
降りやまぬ霰に鴛鴦の浮所

麦南
月の鴛鴦みじろぐさまの水輪かな

屏風岩高く翔れる鴛鴦もあり 花蓑

鷹女
鴛鴦二つ夜々蒼空をゆめみけり

立子
わが身のみ暮れきらずをりをしの水

汀女
鴛鴦ならぬ禽は何ぞや鴛鴦の水

立子
をし群れて餌につきゐしは今しがた

鴛鴦を見る木の間かな 花蓑

水ひろき方へと鴛鴦の進みけり 花蓑

風吹きて鴛鴦いちやうに羽づくろひ 汀女

翔ちつれて舞ひ戻るあり番ひ鴛鴦 花蓑

鴛鴦に月のひかりのかぶさり来 青畝

素逝
円光を著て鴛鴦の目をつむり

素逝
日の中のひかりをひいて鴛鴦すすむ

素逝
鴛鴦あそぶ水玉水の上をまろび

素逝
鴛鴦をつつみてひかりよごれなし

蛇笏
鴛鴦うくや林閧フ瀬のあきらかに

蛇笏
水づく枝を鴛鴦のすぎつつ底明り

不死男
剃り立ての顔にべたべた鴛鴦の水

青畝
絶壁の一点に鴛鴦とまりけり