和歌と俳句

原 石鼎

29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39

ありがたき今日の雷雨と言ひあへり

午まへの烈日にしる夕立かな

夕立や百日紅の葉の面

きれぎれに虹色強し雲の中

帆の前の人逞しや夏の海

生簀見てもどりし船の人涼し

うしろより涼しき風や日和山

炎天や彷彿として伊良子崎

よき星に肌な見られそ屋根涼み

行水を捨てあふ音や垣根越

行水をいちさきすまし主かな

行水のすみて上りし子供達

風鈴のしきりにさびし留守の軒

風鈴に真闇の空のありにけり

風鈴のむせび出でては夜半さびし

蟹売をあはれと見るや日の盛

毛ばかりの幹でありけり夏の棕梠