和歌と俳句

日野草城

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鈴虫のひげをふりつつ買はれける

鈴虫の一ぴき十銭高しと妻いふ

鈴虫を聴けり胆汁を瀉きける子

みとりの夜いまは傾ちぬ鳴く鈴虫

鈴虫の孤つとなりて鳴き澄めり

あけぼのを鳴く鈴虫よ子は癒えたり

縷々の虫秋草の陽の濃くうすく

秋風に灯の穂かたむくゆあみかな

梨をむく音のさびしく霧降れり

縷々の秋草の陽に濃くうすく