和歌と俳句

時鳥 ほととぎす

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

柿わかく花柚老木や時鳥 泊雲

杣の死に斧を祀るやほととぎす 蛇笏

わが指の白きを見守れば時鳥 龍之介

羅帷一重燭一盞や時鳥 龍之介

かはたるる靴の白さやほととぎす 龍之介

朝焼くる近江の空やほととぎす 龍之介

岩壁へ閉めて雨戸やほととぎす 石鼎

白扇に山水くらしほととぎす 蛇笏

出雲路は桑の月夜にほととぎす 石鼎

晶子
伊香保山湯の流よりかんばしく甘く苦しくほととぎす啼く

暁の声雀とまじる時鳥 石鼎

朝日出でて欅に風や時鳥 石鼎

日孕んで輝く松や時鳥 石鼎

篠山を突きたる声や時鳥 喜舟

ほととぎす根岸の里の俥宿 万太郎

垣結へる同じ構へやほととぎす 万太郎

牧水
山の湯のそのわかし湯のえんとつのうへまひこえて啼くほととぎす

時鳥川上へ鳴きうつる窓あけてをる 碧梧桐

晶子
ほととぎす樹海の波につつまれてうらやはらかく鳴ける黄昏

堂と堂対し暮るるやほととぎす 播水

ほととぎす焙炉ほとほる籬かな 青畝

月しろのにはか明りやほととぎす 草城

林檣によろばふ月やほととぎす 草城

風前の灯の穂危うしほととぎす 草城

待ち出づる月は端山やほととぎす 草城

ほがらかに月夜更けたりほととぎす 草城

夜の嶺に馬柵の見ゆるなりほととぎす 秋櫻子

牧草の丈なすままにほととぎす 秋櫻子

憲吉
さみだれは暗きながらに宿駅路へこゑきこえくる山ほととぎす

茂吉
みすずかる信濃のくにの山がひに声さやさやし飛ぶほととぎす

茂吉
死のごとしづまりかへる沼ありてゆふぐれ空に啼くほととぎす

憲吉
山原を霧ふき上り雨気づくやその叢の夕ほととぎす

山の木のうすゆふばえやほととぎす 草城

ほととぎす夕影深くなりにけり 草城

花消えしぼうたんの葉やほととぎす 草城