滴りの音の間遠の井や真昼
滴りのはやきとおそきと見えかくれ
滴りの凝つては落つる白さ見よ
滴りの音のこだまの井の深さ
滴りの音顔に来る深井かな
滴りやのぞく深井の鴨足草
滴りのこだます井なれ梅の宿
滴りや釣瓶の水が井の歯朶へ
汗の人を尊くも見て通りけり
ひつじ草ちりなば水のそのままに
鳰がひく水脈睡蓮の花よりす
黄睡蓮鏡にもある池の面
杜影にまぎるるものやひつじ草
燈を消して横はりぬてよるの秋