懸鉤子を掌うけてつみぬ葉の蔭に
懸鉤子の飴色なるをつまみとり
舌頭の懸鉤子ほのと甘きかな
木戸垣の内に裏白いちごかな
木いちごにほのと深山の香ぞあまし
雹をかしことりと動き消ゆるとき
白玉や蕊のなよびもおそ椿
朝戸出や溝板踏んで鳴るも夏
白は白斑紅は紅斑の緋鯉かな
睡蓮に鰓押しつけし緋鯉かな
日くるれば日ぐれ神守る緋鯉かな
大緋鯉黄がちにはぬる水面かな
白日にたまむしとべる緋鯉かな
すずろあれば森の神守る緋鯉かな
雲影に消えては見ゆる緋鯉かな
こぼし水走る水玉も乾きけり
すてし水土にもしまず乾きけり
白雨ならず何雨ならんけさの庭
本降りに夕立降りは珠のごと
音たてて大地うちきし夕立かな
日傘とは梅の蔭よりさして出る
細き柄の長くて軽くて日唐傘