古すだれ垂れし館や若楓
星ヶ岡つつみ了せぬ若楓
故郷の空によく似て今朝の夏
一鍬に起す菫や夏初め
初夏や杣が留守なる午餉時
杣が夏猿が根子の火桶らし
初夏や美事に出来し蓬餅
初夏や透明の温泉あふれ居り
初夏や羽織ひつかけTowelling
初夏の田楽太しかぶりけり
初夏を濃き紫のすみれなど
初夏や咲かむとすなる巌躑躅
初夏や葉をよそほへる嵓つつじ
初夏や土坡しろじろと躑躅山
初夏は日色ふくみし楓より
初夏や煤けすすけし糸車
初夏の釣れずなりたる子鮎かな
初夏や散りのこりつつ花あしび
山門の両側よりや若楓
山王のふもとにひくし若楓
随身門見仰ぐ左右の若楓
初夏は色さまざまの楓より
この庵のまづ目に若葉紅葉かな
初夏の日影はおつるずんずんと
初夏の風にひろめや渡世かな