わだつみに日輪落つる芒かな 悌二郎
手向草すゝきまじへてあはれなり 万太郎
芒振り新宿駅で別れけり 青邨
すすきのひかりさえぎるものなし 山頭火
ほけし絮のまた離るるよ山すすき 蛇笏
をりとりてはらりとおもきすすきかな 蛇笏
刈籠に穂はちりぢりのすすきかな 蛇笏
牧場守こよひの薄折りゐたる 青邨
玉芒住みなす様をかくしけり 青畝
旅のすすきのいつ穂にでたか 山頭火
はしけやし露のぼりゐる糸すゝき 石鼎
山鳴りに追はれて下る芒かな 月二郎
あけぼのやますほのすゝきさむらさき 淡路女
りいと鳴く蟲のこもれる芒かな 汀女
子の持てる薄はなはだ太かりし 立子
みちのくの風の冷たき芒かな 淡路女
二三本月に輝く芒かな 青邨
大地にすわるすすきのひかり 山頭火
雨の糸ときどき見ゆる芒かな 立子
前山に雲居てかげる庭芒 たかし
錦木も刈られし籠の山すすき 蛇笏
温泉の宿のうらに芒の一軒家 草田男
なにもかも失せて薄の中の路 草田男
打靡く芒ばかりの嶮しさよ 草田男
猫八に二代目ありし芒かな 万太郎
すすきとる子の背かくれて風吹けり 貞
雨細き暁の芒に対ひけり 亞浪
月の巌のくらみよりたれ薄の葉 石鼎
月に向く芒は風の為なりし 立子
庭薄かげりて沼もかげりけり たかし
まんなかを刈りてさみしき芒かな 耕衣