和歌と俳句

平畑静塔

白椿禅寺すべて洗ひざらし

梅の花墓はむくろの重石にて

えむぼたん一つ怠けて茂吉の忌

そそくさうきうき野良連の花見連

野良着よりましなもの着て花疲れ

嘶かず馬頭観音飛花をよぶ

娘の身鍬はみづから耕しぬ

園の花天蓋ふたり占め

花の庭窯火守りてくもらさぬ

春嵐火守は一歩窯に寄る

筑波嶺も仕ひたくなる雛納

風の子の畦火ふざけて鞭のがれ

花売に粘り負けして西東忌

花下くぐる綱と鋸持ち慣れて

宏き目の花見蛙として坐る

耕すや胸に真赤な血を秘めて

あり消ゆるさだめの水泡あり

山吹の花の幔幕蕨狩