白椿禅寺すべて洗ひざらし
梅の花墓はむくろの重石にて
えむぼたん一つ怠けて茂吉の忌
そそくさうきうき野良連の花見連
野良着よりましなもの着て花疲れ
嘶かず馬頭観音飛花をよぶ
娘の身鍬はみづから耕しぬ
梨園の花天蓋ふたり占め
花の庭窯火守りてくもらさぬ
春嵐火守は一歩窯に寄る
筑波嶺も仕ひたくなる雛納
風の子の畦火ふざけて鞭のがれ
花売に粘り負けして西東忌
花下くぐる綱と鋸持ち慣れて
宏き目の花見蛙として坐る
耕すや胸に真赤な血を秘めて
蕨あり消ゆるさだめの水泡あり
山吹の花の幔幕蕨狩