和歌と俳句

日野草城

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月さして葡萄の房ぞ垂り揃ふ

葡萄垂りダグラス月の天に浮く

天を往く灯のすみやかに葡萄垂る

ダグラスの路も露けしや月の辺を

ダグラスのなほひびきつつ月の天

ダグラスの消えたる天のつゆけしや

葡萄照りこほろぎ露にひびきけり

病む人を馘りぬ秋の午後の晴

秋の汗ひとをくびきりし気の疲れ

くびきられたる人と秋の風に吹かれ

恪勤の彼の無能は覆ふべきか

秋風の麺麭ようら若き手に切られ

きりくちのあはれに白き秋の麺麭

わきばさむ麺麭秋風にふとにほふ

麺麭を焼く妻の挿頭の白桔梗

秋風のバターは既に堅かりき