月さして葡萄の房ぞ垂り揃ふ
葡萄垂りダグラス月の天に浮く
天を往く灯のすみやかに葡萄垂る
ダグラスの路も露けしや月の辺を
ダグラスのなほひびきつつ月の天
ダグラスの消えたる天のつゆけしや
葡萄照りこほろぎ露にひびきけり
病む人を馘りぬ秋の午後の晴
秋の汗ひとをくびきりし気の疲れ
くびきられたる人と秋の風に吹かれ
恪勤の彼の無能は覆ふべきか
秋風の麺麭ようら若き手に切られ
きりくちのあはれに白き秋の麺麭
わきばさむ麺麭秋風にふとにほふ
麺麭を焼く妻の挿頭の白桔梗
秋風のバターは既に堅かりき