みことのりうけたまはると妻子らと
おんこゑのまぎれがちなり汗冷ゆる
おもひきや戦をとざすみことのり
おんこゑのくごもりたまふかしこしや
御齢わがよはひなりかしこしや
戦果つ草深にをるうかららに
戦果つ残る暑さのきびしきに
二上山を瞻てをりいくさ果てしなり
煮ざかなに立秋の箸なまぐさき
病む人の秋の昼寝ぞしづかなる
つきしろや遠きラヂオのユモレスク
鉦叩昼もたたけりしづかなる
噛みくだく眠りぐすりやかねたたき
こころよく痰の切れたる盆の月
盆の月こよひは盈ちぬ照りにけり
晨朝の殺生根切虫居りて
わが不眠石もねむれぬ夜と思ふ
茗荷汁ほろりと苦し風の暮れ
なほ温し秋のひるげの蒸しぱん
いちじくのけふの実二つたべにけり