和歌と俳句

祭り

篝守漕ぎ移りくる祭かな 夜半

海鰻売りの居村まはりて祭かな 青畝

妹が居の宰相山も夏祭り 誓子

瑞枝して欅影さす祭かな 秋櫻子

祭笠いただき栄えてわたし守 秋櫻子

かんばせの汗うつくしき祭かな 草城

凌霄の花のふふまる祭かな 悌二郎

崎の海は荒びたれども夏祭 誓子

畦みちにかはほりの舞ふ祭かな 悌二郎

真直ぐに祭の町や東山 虚子

遷座式ありての上の祭かな 喜舟

夕しほや祭の中の橋の数 喜舟

たらたらと祭太鼓をうちつづけ 虚子

祭あはれ覗きの眼鏡曇るさへ 誓子

からくりの鞭ひしひしと夏祭 誓子

祭りあはれ奇術をとめを恋ひ焦れ 誓子

雨をよぶ山車を出しけり夏祭 かな女

家を出て手を引かれたる祭かな 草田男

宵に睡て又目の醒めし祭かな 草田男

町中に祭の山車はみどりなす 青邨

がぶがぶとサイダのみたる祭かな 万太郎

提灯のともりそめたる祭かな 万太郎

おもふさまふりてあがりし祭かな 万太郎

年々に空地へりゆく祭かな 万太郎

坂なりにだんだん出来し祭店 虚子

ほほすけにあか弓あか矢夏祭 石鼎

浜木綿に夜の波白き祭笛 麦南

どでどでと雨の祭の太鼓かな 虚子

酒汲んで酔はぬしづけさ夏祭 友二

着倒れの京の祭を見に来り 虚子

北嵯峨の祭の人出見に行かん 虚子

足袋買ふや木曾の坂町夏祭 多佳子