ほほすけにあか弓あか矢夏祭
くろひかる仔猫もまじり畚の秋
野茨や日焼けて細き子等が脛
野茨のつぶらなる花人の裾
野茨の昼の夢なん花真白
逐ひあぐる牛うばらより堤上へ
短夜の月の往還をとぶ蛙
雨つぶに水の面あやなし水馬
鶏鳴に木菟なきわたり明易き
岸草の長葉や水づく梅雨出水
まひまひのめぐりそめまためぐりやめ
井手川や稲明けやすく蜘蛛の糸
梅雨入とて鶉の卵もらひけり
梅雨じめる草よりたちし鶉かな
入梅や青梅にふと紅さして
天地のいろを湛へて苔の花
おとどしの蝸牛ならんおほふとり
子をあまたつれて蝸牛跳梁す
枝の梅の五つ六つづつみのり居る
青梅の梢に雨のあがりけり
雨に更けて蚊帳に重みを感じけり
あまだれの雫にちかき梧桐かな
古葉より上に若葉す梧桐かな
草木にうもるる庵の夏帽子
香水やDRESSの織目毛むくだち