かやをつる吊手つくりぬ窓若葉
大桜若葉してふるき枝見ゆる
短夜の明けてなほ灯くともしかな
あかね雲西に東に明易き
明易く大いなる星と鎌月と
短夜の夜半の月ぞも夜半ながし
黄高く咲く何花の明易き
短夜の小風も添うて暁け雀
短夜の明けちかみひそと月の暈
明けばやの大煙突にうす煙
雲ながらかなかな短夜を啼ける
しののめの雲に陽にじみ明易き
短夜の永々し外は浄土なる
短夜の三たびもめざめ暁遠し
月の暈いつしか消えて明易き
けふよりのみどりの蚊帳の環おもし
地震ふるや蚊帳かたはづし星と居る
蚊帳に寝て昼ながかりしおもひかな
ふる蚊帳の中のあまりに月清し
かけそむる月の三たびも蚊帳涼し
眼さむるや燦として蚊帳の朝日かな
高窓に蚊帳見えて星天にみつ
蚤取粉ふりたてぬ月の蚊帳のうち
金の月へ遠き蝙蝠とんで消ゆ
地震ふるや星夜の窓と大南風に