俳句案内

中村草田男

長子

火の島

万緑

来し方行方

銀河依然

母郷行

十一

母なき冬石臼の目をきざむ音よ

冬の土母往き去りしままの道

背も豊か鷹の横顔夕澄みに

けふ壮心枯桜銀松は金

かきならす香炉の灰もいつしか冬

庭にも無し背高き母の冬日の影

返り花母ふ小田巻繰返し

蘆の刈跡母の恋しさ処置なしや

水仙の芯自らを囲ひたる

濡れ豆腐焼くや炭火の総紅蓮

寒き枕辺亡母へ金貨並べし夢

梶棒を顔へ高揚げ枯野人

いまも小さき手や東大の花八手

学の厦冬の厦壁画の旗手は紅顔に

日を待てる夜空の色の一書冴ゆ

子は育つ柱・梯子に苔咲きつつ

小閑充実鴨くさきまで鴨の群

乙女の手一つへ春の鯉寄りゆく

残雪や「くれなゐの茂吉」逝きしけはひ

残雪の頭上の暈月仰ぎ悼む

天の声うつそみの声冴えて消えぬ

壁画は燃え詩歌の柱倒るる代か

電車過ぐれば枯芝すらも立ちおののく

生きてみばや枯野の犬と生命共に

松笠落ちて父の銭母の飯恋し

子規 漱石 龍之介 碧梧桐 虚子 鬼城 亞浪 山頭火 普羅 放哉 風生 水巴 蛇笏 月二郎 みどり女 石鼎 しづの女 万太郎 久女 青邨 秋櫻子 素十 夜半 麦南 悌二郎 鷹女 多佳子 青畝 耕衣 茅舎 汀女 三鬼 誓子 不死男 草城 不器男 立子 林火 楸邨 静塔 鳳作 たかし 波郷
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