入学のはかま瀧縞敵役
入学の房のつきたる帽子かな
入学や草履ぶくろの花模様
長唄のおしよさんの子入学す
入学の子の胸高にはく袴
夕靄におぼれて白きさくらかな
杉林のしかかりをり花ぐもり
つぎかへてまた冷えし茶や花曇
くたびれて来てたたみけり春日傘
二人づつ三人づつ連れ春日傘
雨ふるとのみおもほへる朝寝かな
何もかもむかしとなりてかぎろへる
春昼のラムプ掃除のおもひでも
落ちあひし筆の穂先や花の雨
花冷えや籠にゐるのはひばりの子
来たことのなきみち落花しろき道
枯桑につばめしきりに光りけり
春暁のもの音きこえそめしかな
花ふかく雲またふかきあたりかな
雪吊のとれたる松や花の雨
鏡台も衣桁も朱に花の雨
花冷えの雨のひときは濡らすもの
はんだいにへちま一つや春の風
いと甘き菓子口に入れ春の風
夕闇にいつまで白き躑躅かな
雨ふくむ風ふきいでし躑躅かな