和歌と俳句

原 石鼎

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橋の根の菱を蹴あそぶ浮巣鳥

枯蘆と青蘆を洲や浮巣鳥

提灯のかげの小ぐらさ鵜船待つ

鵜の篝暗の巌を照らし来る

鵜篝の火心まぶしく見えたりけり

鵜篝の烈火に躍る鵜匠かな

鵜篝の鵜匠は闇の王者かな

青芒橋のたもとに見てすぎぬ

蘆つかんで夕日の中の行々子

行々子桑の月夜の夢を啼く

薫風や畳の上の竹の埒

薫風や宝壺の蓋の古金襴

このさきにもはや道なし昼河鹿

瀬の音とはなれて高し夕河鹿

山門や夕時鳥しのび音に

朝刈りの草をこぼれぬ月見草

月見草しぼみながらも黄なるかな

月見草小さくしぼみし赤さかな

夕日みてけふも人立つ月見草

雲の峰風に吹かれてなびくかな

灯り出しネオンサインや雲の峰

浮きつれて湖藻ぞつづれ夕立晴

湖に雨音たつる夕立かな

湖に潮してゐる夕立かな

夕立や雨もつれ降るバルコニー