皇后宮權大夫師時
神まつる御室の山に霜ふればゆふしでかけぬ榊葉ぞなき
康資王母
榊葉や立ちまふ袖の追風になびかぬ神もあらじとぞ思ふ
大納言経信
旅寝する夜床さえつつ明けぬらしとかたぞ鐘の聲きこゆなり
前齋院六條
なかなかに霜のうはぎを重ねてや鴛鴦の毛衣さえまさるらむ
修理大夫顕季
さむしろに思ひこそやれ笹の葉にさゆる霜夜の鴛鴦のひとり寝
曾禰好忠
ふぢふ野に柴刈る民の手もたゆみつかねもあへず冬の寒さに
内大臣有仁
なにとなく年の暮るるは惜しければ花のゆかりに春を待つかな
藤原成通朝臣
人しれず年の暮るるを惜しむ間に春いとふ名の立ちぬべきかな
藤原永実
數ふるに残り少なき身にしあればせめても惜しき年の暮かな
三宮輔仁親王
いかにせむ暮れ行く年をしるべにて身をたづねつつ老は来にけり
中原長国
年暮れぬとばかりをこそ聞かましか我が身の上に積らざりせば