和歌と俳句

上西門院兵衛 待賢門院兵衛

千載集・春
>花の色にひかりさしそふ春の夜ぞ木の間の月は見るべかりける

千載集・離別
限りあらん道こそあらめこの世にて別るべしとは思はざりしを

千載集・哀傷
ちりぢりに別るるけふのかなしさに涙しもこそとまらざりけれ

千載集・恋
岩間ゆく山のした水せきわびてもらす心のほどを知らなん

千載集・恋
宵の間も待つに心やなぐさむといま来んとだに頼めおかなん

千載集・恋
我が袖の涙や鳰の海ならんかりにも人をみるめなければ

千載集・恋
憂かりける世々の契りを思ふにもつらきはいまの心のみかは

千載集・恋
何せんに空頼めとて恨みけむ思ひ絶えたる暮もありけり

千載集・雑歌
これや夢いつれかうつつはかなさを思ひ分かでも過ぎぬべきかな

新古今集・冬
かへりては身に添ふものと知りながら暮れ行く年を何慕ふらむ

新古今集・哀傷
今日くれどあやめも知らぬ袂かな昔を恋ふるねのみかかりて

続後撰集・春
たづねゆく 山辺にかかる 白雲の はれぬにしるし 花ざかりとは