和歌と俳句

花薄 薄の穂 尾花

治承このかた平家ぞをしむ花すすき 蛇笏

赤彦
芒の穂白き水噴くと見るまでに夕日に光り竝びたるかも

赤彦
紅の芒の穂並くもり日の静かさふかく動く時かも

利玄
高原に夕日そそげりうちわたすくさ山かげの尾花しろしも

晶子
いと高く穂上ぐる芒大ぞらの雲の心を覗けるすすき

啼きほそる鳥あり尾花そよぎ暮る 山頭火

頂上の風に吹かるる尾花かな 鬼城

花芒払つて高し海の雲 龍之介

牧水
円山の芒の穂なみ銀のいろにひかり靡きてならぶ幾山

葛の中ひらいて高し芒の穂 石鼎

赤彦
この山の小松にまじる芒の穂日は照らせども暗きかげ多し

空に知る海のけはひや花芒 龍之介

穂芒や門前横ぎる道ほとり 石鼎

影富士の消えゆくさびしさ花芒 亞浪

尾花そよぎ富士は紫紺の翳に聳つ 亞浪

晶子
薄の穂つひに野沢の水よりも白くめでたくひろごりにけれ

穂芒に蜘蛛の糸飛べる旭かな 石鼎

晶子
風の日はいと浅はかに泣く人の面影となる原の穂すすき

晶子
大空の光が渡る軽さもて山をおほへる秋の穂すずき

晶子
薄の毛逆立つことのあはれなり何に恐るる奥の草山

風海や伸ぶだけ伸びて花芒 花蓑

牧場から来た女の穂芒に吹かれ行く 碧梧桐

穂芒の中の径の深さかな 石鼎

恋心四十にして穂芒 放哉

満山の穂芒と暮るゝ小松かな 石鼎

穂芒やはたとなくなる夕日影 月二郎

茂吉
野分すぎて寂びたる庭に薄の穂うすくれなゐにいでそめしころ



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