夏やせと申すべきかや頬あかり
日ざかりや廂にのぼるかぶと虫
硯塀に日盛りの草うつりけり
屋根瓦こけにうもれつ日の盛り
山ざとに風鈴きけばさびしもよ
夕立やかみなり走るとなりぐに
昼深く蟻のぢごくのつづきけり
水鶏なくさとのはやねと申すべし
蝸牛の角のはりきる曇りかな
竹の葉の昼の蛍を淋しめり
蛍くさき人の手をかぐ夕明り
蛍かご入日を移し哀れがる
竹の子の皮むく我もしばらくぞ
さくらごをたたみにならべ梅雨の入り
さくらごは二つつながり居りにけり
さくらごの籠あかるさよ厨口
青梅や茅葺きかへる雨あがり
青梅も葉がくれ茜さしにけり
朝拾ふ青梅の笊ぬれにけり
炭ついで青梅見ゆる寒さかな
青梅や築地くえゆく草の中