立春の雪白無垢の藁家かな
松の曲麗日雪に遍照し
芒枯れ細りきつたる麗かさ
春月のくまなき土に雪一朶
春なれや満月上し大藁家
春夕べ烏は朱けに染まり飛び
燕のさへずり宙にこぼれけり
如月や十字の墓も倶会一処
鶯や桐里町へ小盗人
朝靄に梅は牛乳より濃かりけり
百千鳥映れる神の鏡かな
朧夜の尽きぬ話を垣に沿ひ
菖蒲の芽既に長鋏帰らんか
瑞瑞しぜんまい長けて神ながら
ぜんまいののの字ばかりの寂光土
さらさらと落花つかずよ甃
殺生の目刺の藁を抜きにけり
ぴぴぴぴと氷張り居り月は春
ギヤマンの如く豪華に陽炎へる
陽炎の道がつくりときりぎしへ
振袖に卒塔婆抱き来る桜かげ
青淵に妙にも白き落花かな
花の雲谷は鉄橋千鳥がけ
平林寺門前竹の秋の関
魚貫して囀り飛ぶよ杉の雨