和歌と俳句

川端茅舎

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立春の雪白無垢の藁家かな

松の曲麗日雪に遍照し

芒枯れ細りきつたる麗か

春月のくまなき土に雪一朶

なれや満月上し大藁家

春夕べ烏は朱けに染まり飛び

のさへずり宙にこぼれけり

如月や十字の墓も倶会一処

や桐里町へ小盗人

朝靄には牛乳より濃かりけり

百千鳥映れる神の鏡かな

朧夜の尽きぬ話を垣に沿ひ

菖蒲の芽既に長鋏帰らんか

瑞瑞しぜんまい長けて神ながら

ぜんまいののの字ばかりの寂光土

さらさらと落花つかずよ甃

殺生の目刺の藁を抜きにけり

ぴぴぴぴと氷張り居り月は春

ギヤマンの如く豪華に陽炎へる

陽炎の道がつくりときりぎしへ

振袖に卒塔婆抱き来るかげ

青淵に妙にも白き落花かな

花の雲谷は鉄橋千鳥がけ

平林寺門前竹の秋の関

魚貫して囀り飛ぶよ杉の雨