草餅に焼印もがな草の庵
桃咲いて厩も見えぬ門の内
屏風して夜の物隠す桃の花
岨道を牛の高荷や木瓜の花
美しき娘の手習や宵の春
女夫して実家に遊ぶや春の宵
春月に木登りするや童達
米搗に大なる春の月のぼる
朧夜や天地砕くる通りもの
大門に閂落す朧かな
川底に蝌斗の大国ありにけり
風吹いてうちかたまりぬ蛙の子
蛙の子泥をかむりて隠れけり
ちりぢりに出て遊びけり蛙の子
青柳や幕打張つて飛鳥井家
青柳の木の間に見ゆる氷室かな
しらしらと人踏まで暮るる落花かな
鬱金桜色濃く咲いて淋しいぞ
二人してひいて遊べよ糸桜
山寺や彼岸桜に畳替
吹きよせて落花の淵となりにけり
御経の金泥へげて八重桜
花散つてきのふに遠き静心