和歌と俳句

牡丹 深見草

白牡丹李白が顔に崩れけり 漱石

雪舟の達磨の前の牡丹かな 喜舟

雨三日晴るべうを牡丹ゆらぐかな 山頭火

晶子
朝風や鸚鵡の鳥に似る牡丹草分けて切る小き牡丹

晶子
わが夢を襲はむものの色したる牡丹の花もくづれけるかな

牡丹切れば気あり一すぢ空に入る 龍之介

曇天に圧されて咲ける牡丹かな 龍之介

晶子
天つ日が光を収めあるさまのこき紫のわが牡丹かな

蟻地獄隠して牡丹花赤き 龍之介

船にのせて湖をわたしたる牡丹かな 虚子

利玄
牡丹花は咲き定まりて静かなり花の占めたる位置のたしかさ

利玄
花になり紅澄める鉢の牡丹しんとしてをり時ゆくままに

牡丹主傀儡よび舞はす座敷かな 虚子

牡丹や甍をめぐれる罅悲し 青畝

牡丹活けて昼一杯の用欠きぬ みどり女

雨空へ雀とんだる牡丹哉 石鼎

先づ見ゆる入口の花牡丹園 石鼎

宵闇に風動きたる牡丹かな 石鼎

崩れたる牡丹に尚も光りかな 石鼎

牡丹に人立てば人に蝶のぼる 石鼎

日を包む雲に光りや牡丹園 石鼎

牡丹又夕べの色となりしかな 石鼎

牡丹の句百句作れば死ぬもよし 石鼎

鴟尾今日の日を失へば夕牡丹 青畝

今年から牡丹咲いたぞ庵雀 石鼎

千樫
甕の中に紅き牡丹の花いちりん妻がおごりの何ぞうれしき

千樫
うつし身のわが病みてより幾日へし牡丹の花の照りのゆたかさ

利玄
くれなゐの牡丹花深みおのづからこもれる光澤の見るほどぞ濃き

雨風に任せて悼む牡丹かな 虚子

白牡丹いづくの紅のうつりたる 虚子

白牡丹といふといへども紅ほのか 虚子

牡丹切る祭心はたかぶりぬ 普羅

寝られざる闇に描きし牡丹かな 虚子

双輪のぼうたん風にめぐりあふ 茅舎

月白し牡丹のほむら猶上る 茅舎

散牡丹ぼうたんの葉に草の葉に 茅舎

ぼうたんのまへに嶮しや潦 茅舎

ぼうたんや眠たき妻の横坐り 草城

うたたねの覚めしたまゆら牡丹散る 草城

白猫の眠りこけたる牡丹かな 草城

ぼうたんやたわたわとして三五輪 草城

玄海のうしほのひびく牡丹かな 草城