ひるがほに電流かよひゐはせぬか 鷹女
昼顔や人間のにほひ充つる世に 鷹女
ひるがほに愚となりゆく頭脳 鷹女
ひるがほに昼まぼろしのいや濃かり 鷹女
昼顔に人は髑髏となりて果つ 鷹女
昼顔の小さなる輪や広野中 たかし
昼顔に認めし紅のさみしさよ たかし
昼顔の花びら斬つて草一葉 たかし
網小屋の戸に昼顔の這入りかけ たかし
自動車の瓦斯のけむりが昼顔に 杞陽
地表灼けひるがほ小さき花つけたり 鷹女
昼顔や釣師と語る葭干潟 友二
晝顔の花もとび散る籬を刈る 虚子
昼顔や砂丘けはしき谷なせる 秋櫻子
昼顔はみな日に向けり海は凪 悌二郎
昼顔やますぐな道のさびしさに たかし
昼顔の花の中にも砂多少 青畝
ヒルガホの平沙に立たせ気多の神 普羅
昼顔の咲きのぼる木や野は広し 草田男
昼顔や線路が忘れられてゐる 綾子
ひるがほの花の輪海の舟かくす 林火
昼顔や我が荷も添ひて友の肩 草田男
晝顔の葎に沈み咲きも咲き 立子
射撃なき日の昼顔の昼の夢 登四郎
砲音にをののき耐へし昼顔か 登四郎
昼顔の外攀じづるものなし有刺柵 登四郎
ひるがほや櫛作る窓のぞきこみ 林火
昼顔やテベレの水の日を反す 青畝
昼顔の花も電波を受けとむる 誓子
昼顔やいつかひとりの道とれば 汀女
昼顔や水を湛えてさすらう人 耕衣