和歌と俳句

菖蒲葺く

人の妻の菖蒲葺くとて楷子哉 子規

明家に菖蒲葺いたる家主哉 子規

信濃路や蠶飼の檐端菖蒲葺く 虚子

温泉の屋根に菖蒲葺くなり有馬山 碧梧桐

菖蒲かけて雀の這入る庇かな 鬼城

菖蒲葺いて元吉原のさびれやう 虚子

菖蒲葺くや雀の古巣ありながら 禅寺洞

簷だれのはしり漏りする菖蒲かな 青畝

声掛けて菖蒲抛葺く翁かな 青畝

そら解のはしなく落す菖蒲かな 青畝

青雲の凝りて霧降る軒菖蒲 秋櫻子

簷菖蒲夕潮さしてうつりけり 秋櫻子

波はしる門あり菖蒲葺にけり 楸邨

ももしきの古き軒端や菖蒲葺く 鷹女

男出て菖蒲葺くなり虹の下 鷹女

菖蒲葺く庇の上に香取かな 茅舎

わが影のはや添ふ菖蒲葺きにけり 汀女

髪を結ふ白き腕や軒菖蒲 汀女

山里や軒の菖蒲に雲ゆきき 虚子

露地の雨葺きたる菖蒲ぬらしふる 万太郎

俄雨やみたる菖蒲葺きにけり 万太郎

菖蒲ふく軒の高さよ彦山の宿 久女

菖蒲葺く庇つづきの湯殿にも 素十

河豚ばかり寄せくる風に菖蒲葺く 普羅

桟橋の先にも菖蒲葺き垂れし 茅舎

道すがら拾ひし菖蒲葺きにけり 波郷

しまひまで焼けのこりたる菖蒲葺く 万太郎

菖蒲葺くこともわすれてゐしものか 楸邨

菖蒲葺く日やここの温泉はこの熱さ 草田男

名物のむかしのあやめ葺きにけり 万太郎

菖蒲葺くすなはち風のわたりけり 万太郎

島人が提げゆく雨の軒菖蒲 秋櫻子

軒菖蒲一夜やどりし軒に垂れ 秋櫻子

菖蒲葺く千住は橋にはじまれり 林火