和歌と俳句

天の川

東京の空には薄し天の川 虚子

白露にけしきかはりぬ天の川 青畝

鎌倉の夏も過ぎけり天の川 たかし

葦原や夜 々に濃くなる天の川 亞浪

銀漢をうす雲ほのとよこぎれり 泊雲

子を負うて肩のかろさや天の川 しづの女

颱風の去にし夜よりの大銀河 しづの女

銀漢やみなし灯ともる仙巌寺 野風呂

蕭々と天の川より風来る 草城

銀漢やごとりごとりと牛車 草城

東京の燈も寝頃なる天の川 亜浪

銀漢やまだ開けてある厩の戸 月二郎

草道の家かげに入り天の川 亜浪

海の上にうつり動ける銀河かな かな女

青軸の筆を銀河に立てゝ持つ かな女

木曾谷の奈落に見たる銀河かな たかし

銀河濃き天球を船に戴けり 誓子

妻二タ夜あらず二タ夜の天の川 草田男

天の川露路を夜明の風ながら 楸邨

天の川かくて饒舌の世にあらず 楸邨

天の川歩をかへすときおもひ出づ 楸邨

天の川家遠き子に幸やあれ 占魚

天の川かはべにたてば星の海 石鼎

天の川硝子こはれし家に靠れ 耕衣

天の川泣寝の吾子と旅いそぐ 楸邨

天の川仰ぐ閑けさや生流転  友二

酔ひ諍かひ森閑戻る天の川 友二

天の川なにかわびしく砂丘越ゆ 蛇笏

天の川垂れたるあたり戦ふか 楸邨

漕ぐ舟を廻せば銀河まはるなり たかし

天の川風樹の歎きわれひとに 槐太

九頭龍の洗ふ空なる天の川 綾子

妻の目に涙あふれ来天の川 楸邨

桃の香の残りし指や天の川 楸邨

虎杖に真向くだる天の川 楸邨

銀漢やどこか濡れたる合歓の闇 楸邨

天の川ながき手紙を書き終る 波津女

砂をゆく歩々の深さよ天の川 多佳子

今日ありて銀河をくぐりわかれけり 不死男

蚊帳色にうすうすながれ天の川 楸邨

天の川ねむらんとして美しき 楸邨

とこしへに天の川あり起ちたまへ 楸邨

紫蘇の香の径をまがりぬ天の川 楸邨

母みとる未明の銀河懸るなり 蕪城

背中には銀河かかりて窓に腰 虚子

道の元砂利の広場や天の川 草田男

万物齢の類を異にす天の川 草田男

万葉の歌の香具山天の川 占魚