空港の青き冬日に人あゆむ
滑走路黄なり冬海につきあたり
操縦士犬と枯草駆けまろぶ
冬天を降り来て鉄の椅子にあり
空港の硝子の部屋につめたき手
郵便車かへり空港さぶくなる
ピアノ鳴りあなたに聖なる冬木と日
雪よごれ独逸学園の旗吹かれ
枯原に北風つのり子等は去り
冬草に黒きステツキ挿し憩ふ
冬日地に燻り犬共疾走す
哭く女窓の寒潮縞をなし
園を打つ海の北風に鼻とがる
荒園のましろき犬に見つめらる
冬鴎黒き帽子の上に無く
冬の園女の指を血つたひたり
絶壁に寒き男女の顔ならぶ