田植留守庭の真中に鍬置いて 虚子
田を植ゑて景色かはりぬわが門辺 秋櫻子
浅間なる照り降りきびし田植笠 普羅
ぬけ出でて蛙のあがる田植笠 普羅
田植水あふれて能登の崩れけり 普羅
田植雲漂ひ消ゆる珠洲の海 普羅
珠洲人やしぶきをあげて苗投ぐる 普羅
独り植ゑひとり上れる深田かな 普羅
白鷺にあなどられつつ深田植 普羅
田植季わが雨傘もみどりなす 多佳子
門下とし伊勢の田植の中駛る 静塔
田を植ゑてきし若者と月を見る 林火
田植あと昼寝の蹠やはらかし 楸邨
多摩人は雷後すがしき田を植うる 秋櫻子
雨に田を植う簑の裡褌ひとつ 誓子
田を植える大股びらき雲の下 三鬼
田を植ゑて伽羅御所残るものもなし 秋櫻子
田植すみ夕焼ながす雄物川 秋櫻子
いただきに村のおくつき棚田植う 爽雨
裾浸す茶山やさしみ田を植うる 爽雨
茶山また茶の木を正し田植済む 爽雨
夕雨の田植のその手早め見ゆ 爽雨
田植詠む泥を掴みしこともなく 誓子