花山院御製
我が宿の櫻なれども散るときは心にえこそまかせざりけれ
源俊頼朝臣
身にかへて惜しむにとまる花ならば今日や我が世の限りならまし
花園左大臣有仁
庭もせに積もれる雪と見えながら香るぞ花のしるしなりける
大中臣能宣朝臣
散る花にせきとめらるる山川の深くも春のなりにけるかな
藤原長能
一重だにあかぬ匂ひをいとどしく八重かさなれる山吹のはな
よみ人しらず
八重さけるかひこそなけれ山吹の散らば一重もあらじとおもへは
太皇太后宮家肥後
こぬ人をまちかね山の呼子鳥おなじこころにあはれとぞきく
関白前太政大臣忠通
咲きしより散りはつるまで見しほどに花のもとにて二十日へにけり
橘俊成
老いてこそ春の惜しさはまさりけれ今いくたびも逢はじと思へば
崇徳院
惜しむとてこよひかきおく言の葉やあやなく春のかたみなるべき