かつしかや月一片の花の句碑
郭公や庭後に摘みし野蒜和
春もはやすかんぽ長けし畦ばかり
紫雲英田を幾重に峠なせりけり
苗場とて潔めし早苗そよぎをり
早乙女や藤の花房髪に垂れ
御田植の笛澄みわたる息長に
舟虫にまかす眉目や潮佛
梅雨の蟹攀ぢては落つる潮佛
月見草梅雨の川波かむりけり
待たねども咲けばかなしき烏瓜
甚平でいづる散歩をとどめられ
黍咲くやたそぞろ歩きも夏すぎて
水羊羹食餌の掟やぶりけり
蘆花の風湿原国をわかちけり
蝶飛ぶを秋風追へり尾瀬ヶ原
水菊をまづちりばめて花野見ゆ
花野にて吊橋わたす只見川
蜻蛉また紅翅赭眼や吾亦紅
風来れば蜻蛉みな飛ぶ黄菅の実
燧岳雲脱ぎ蜻蛉ふえにけり
巣ごもりに雷おそれをり岩燕
残月のまどかにひくし沢桔梗
爽かに登路かくさず至佛岳
残月やすでに高舞ふ岩燕