和歌と俳句

阿波野青畝

旅塵を払ふ

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寒き雁つづけざま落ち真野灯る

風塵や面ころころと残り福

たたなづく伊豆の萱原雪知らず

山寺のに澄みし夕べかな

白酒の瓶に桃花を描きけり

みちのくに遠き都のの顔

耕人は静の墓を語りかけ

ひつかぶる根なしかづらや春嵐

桃の花若狭鰈の干されけり

一燭に春寧からむ伎芸天

永き日やへの字口せるブルドツグ

六道の涅槃変相ゑがきけり

田打花くろがねいろに褪せにけり

花ふぶき殺生石を舞はれけり

文机に書措かず在五中将忌

尊氏を憎しみ雨の時鳥

濡砂のしまりの固き干潟かな

寇ありし塁を残して松露出づ

旅枕はや明易し響灘

一切の襖はづして夏百日

よしきりの巣のある葭を籬とす

星合のこよひは麻のそよぎかな

一閃の雷火のなかに青胡桃

夕立をくぐり天龍下りかな

一つ家のその市振に我