和歌と俳句

川端茅舎

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焚火して金屏風裡にあるが如

焚火あと光琳紅葉まきちらし

焚火人知らずや栄華物語

塔の森落葉煙の出し今朝よ

墓の面落葉煙にこそはゆき

上人の滅度の障子寒雀

大木の中咳きながら抜けて行く

咳きながらポストへ今日も林行く

五重塔の下に来りて咳き入りぬ

わが咳や塔の五重をとびこゆる

寒林を咳へうへうとかけめぐる

咳止めば我ぬけがらのごとくなり

寒堂に光顔巍巍とおはします

大寒の下品下生のおんみこれ

あかあかと木魚は寒きいきを吹き

枯芝に九品浄土のみぢんたつ

寒椿日輪まこと揩スくて

ひと行くと躍り鞭打つ枯木

寒梢の日の相既に沈沈と

御佛の金透く寒の格子とて

銀鳩にほこりつかずよ寒寂びて

さるすべり肌理こまやかに寒の日に

西方に揩スき日あり寒の芝

紺青の月夜なりけり寒旱