和歌と俳句

川端茅舎

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スキーの子嬉々と華厳の滝の上

スキーの子バスに会釈や追縋り

華厳璃璃光つらら打のべし

絶壁につららは淵の色をなす

雪のせし流木岩にはさまりぬ

蘭の根に蘭の如くにつららたれ

寒月の岩は海より青かりき

寒凪の夜の濤一つ轟きぬ

風呂敷に落葉包みぬ母も子も

懐手して躓きぬ老あはれ

純粋に木の葉ふる音空は瑠璃

朴落葉して洞然と御空かな

極月の大南風吹く一と日かな

石段の下に師走の衢あり

冬紅葉南風吹く日にどつと散る

冬紅葉一円相にちりつもる

落葉掃了えて今川焼買ひに

雪満ちて華厳の煙あたたかき

男体山大き創痍の雪に晴れ

牡丹雪陽明門をかくし得ず

日光の娘等の晴着に雪さらさら

スキーの娘中禅寺湖を眼に湛へ