ふりかかる雨の細さや若緑
荒馬のつぎ荒牛や初夏の路
初夏の風げんげんの花を吹く
神仏も持たで庵や更衣
葉桜や蝙蝠空へおよぎけり
抜き捨てし一茎岸に菖蒲池
苗売の過ぎて親しや塀の空
苗売りのしづしづふんで草鞋ばき
滝見つつ若葉の廊を渡りけり
麦笛を吹いて一人や長まつ毛
先づ見ゆる入口の花牡丹園
宵闇に風動きたる牡丹かな
崩れたる牡丹に尚も光りかな
牡丹に人立てば人に蝶のぼる
日を包む雲に光りや牡丹園
大欅の根を踏んで立つ牡丹園
暁の声雀とまじる時鳥
朝日出でて欅に風や時鳥
日孕んで輝く松や時鳥
牡丹又夕べの色となりしかな
牡丹の句百句作れば死ぬもよし
乾く地にすぐの亀裂や花あやめ
滝を見し心さむさや杜若
荷車の輪のくるくると杜若