和歌と俳句

種田山頭火

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草餅のふるさとの香をいただく

休み石、それをめぐつて草萌える

よい湯からよい月へ出た

はや芽吹く樹で啼いてゐる

笠へぽつとり椿だつた

明日はひらかう桜もある宿です

春夜のふとんから大きな足だ

ここまでは道路が出来た桃の花

お地蔵さんもあたたかい涎かけ

汽車が通ればつむ手をいつせいにあげ

何やら咲いてゐる春のかたすみに

がもう売られてゐる

学校も役場もお寺もさいたさいた

しづかな道となりどくだみの芽

朝からの騒音へ長い橋かかる

遍路さみしくさくらさいて

春雨の放送塔が高い

移りきて無花果も芽ぶいてきた

枝をさしのべて葉ざくら

廃坑、若葉してゐるはアカシヤ

ここにも畑があつて葱坊主

香春をまともに別れていそぐ

若葉清水に柄そへてある杓

あるけばきんぽうげすわればきんぽうげ

海から五月の風が日の丸をゆする